田中史子のつぶやきコラム

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TOP > 田中史子のつぶやきコラム > 会社名義の財産は財産分与の対象になるか。

2018.3.30

会社名義の財産は財産分与の対象になるか。

婚姻中に、夫婦の協力によって取得した財産は、夫の名義の財産か、妻の名義の財産かにかかわらず、離婚の際には財産分与の対象になります。

では、家族経営の会社で、夫(もしくは妻)が経営者で、妻(もしくは夫)も会社の経営を共に行っていた場合、会社名義の資産は財産分与の対象になるのでしょうか。

会社の資産については、夫婦の資産とは別であり、財産分与の対象とはならないのが原則です。

しかし、実質は夫婦共有財産であるのに、名義のみを会社としたことが明らかな場合等には、財産分与の対象となる可能性があります。

この点、夫婦でA社、B社を経営している事例において、A社は、夫婦が営んできた自動車販売部門を独立させるために設立され、B社は、夫婦が所有するマンションの管理会社として設立されたもので、いずれも夫婦を中心とする同族会社であって、夫婦で経営に従事していたとして、A社、B社名義の財産も財産分与の対象とした判決があります(平成16年6月18日広島高等裁判所岡山支部判決)。

一方で、内縁関係の解消に伴う財産分与が問題となった事例において、内縁の夫が会社を創業し、個人経営の色彩が強いことが認められるものの、本件内縁関係の始まったころには、すでにA社は多数の従業員を雇用しており、経営者個人とは別個の独立した経済主体となっていたといえるので、内縁の夫個人の資産と同視できるとはいえない、とした審判があります(平成10年6月26日名古屋家庭裁判所審判)。

結局、会社の資産が夫婦の財産分与の対象となるかどうかは、会社の法人格が濫用的な目的に利用されていたり、会社と個人の資産や業務が混同されていて、法人格が形骸化しており、裁判所がその事件において、法人格の存在を否認することができる場合かどうか(法人格否認の法理)、という点が問題になるのだと思います。

したがって、会社を経営する夫婦の場合、会社名義の資産だからといって、財産分与の対象とならないとは言い切れないことに注意する必要があります。