田中史子のつぶやきコラム

田中史子の
つぶやきコラム

田中史子が日々の弁護士業務に
おいて感じていること、
考えていることについて
お伝えさせていただきます。

※当事務所は、当ウェブサイトの内容の正確性・妥当性等につきましては細心の注意を払っておりますが、その保証をするものではありません。 また、当ウェブサイトの各情報は、掲載時点においての情報であり、その最新性を保証するものではありません。

※当事務所は、当ウェブサイトの内容の正確性・妥当性等につきましては細心の注意を払っておりますが、その保証をするものではありません。 また、当ウェブサイトの各情報は、掲載時点においての情報であり、その最新性を保証するものではありません。

TOP > 田中史子のつぶやきコラム > 離婚による氏の変更

2018.11.26

離婚による氏の変更

現在の法律では、結婚の際に、夫もしくは妻のいずれの氏(名字)を使うかを決めなければなりません。現状においては、妻が夫の氏に変更していることがほとんどだと思いますが、夫が妻の氏に変更することもあります。

離婚時には、氏を変更した妻(もしくは夫)は、原則として旧姓に戻ることになります(民法767条1項)。
ただ、離婚の日から3ヶ月以内に、結婚していたときの氏を続けて使用する届け出をすれば、そのまま結婚していたときの氏を使用することができます(民法767条2項)。この届け出は、離婚届を提出する際に、同時に提出されていることが多いと思います。

では、離婚後、3ヶ月を過ぎてしまうと、旧姓に戻すことはできなくなるのでしょうか?
離婚後3ヶ月を過ぎた後でも、家庭裁判所に「氏の変更の許可」の申し立てをして、裁判所の許可を得れば、旧姓に戻すことも可能です。但し、その場合には、「やむを得ない事由」(戸籍法107条1項)があるかどうかが問題となります。離婚時は、お子さんの名字が変わるのを避けるため、旧姓に戻さなかったが、お子さんが成長されて、お子さんへの影響を考慮しなくてよい時期となって旧姓に戻したい、との思いとなった場合に問題となります。

この点、名古屋高等裁判所平成7年1月31日の決定においては、「氏の変更について、戸籍法107条1項所定の『やむを得ない事由』の存否を判断するにあたっては、それが婚姻前の氏への変更である場合には、民法が離婚復氏を原則としていること(民法767条1項)などに鑑み、一般の氏の変更の場合よりもある程度要件を緩和して解釈することが許されるものと解するのが相当である。」とされています。
その上で、申立人は離婚に際して当時の勤務の関係から婚氏の継続使用を選択し、4年余りを経過したものの、その使用期間はさほど長いとは言えないうえ、使用中の生活範囲も比較的狭いものと考えられ、未だ婚氏が申立人の離婚後の呼称として社会的に定着したものとは言い難い等として、旧姓への氏の変更を認めました。
すなわち、離婚後、結婚していた時の氏をそのまま使用していたとしても、それが社会的に定着するに至っていなければ、旧姓に氏を変更しても社会的弊害は生じないので、変更を認めてよいという判断です。

ただ、離婚後長期間が経過してしまうと、結婚していた時の氏が社会的に定着していると判断される場合が多くなると思いますので、旧姓に戻したい場合には、出来るだけ早く手続きをした方が良いと思います。