田中史子のつぶやきコラム

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つぶやきコラム

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2019.3.28

扶養的財産分与

離婚の際の財産分与においては、夫婦財産の清算である清算的財産分与が中心となります。
しかし、離婚後の扶養として、扶養的財産分与が認められる場合があります。
離婚後扶養は、あくまで財産分与をする側の扶養義務者に扶養能力があり、他方、分与を受ける側の扶養権利者が要扶養状態にある必要があります。

この点、年間110万円余りの厚生年金の収入しかなく、73歳の高齢で自活能力が全くない妻に対し、月額10万円ずつを少なくとも平均余命の範囲内である今後10年間の生活費として負担すべきだとして、1000万円の財産分与を命じた判決があります(東京高裁平成1年11月22日判決)。この事例では、夫が不貞の相手方と生活して2人の子どもも生まれ、会社を経営して相当程度の生活を営んでいることも考慮して、上記の離婚後扶養が認められています。

また、婚姻期間は1年余りであるが、婚姻破綻の責任が夫にあるとされた事案で、少なくとも妻が自活能力をうるまでの期間の生活保障は、夫は当然負担してしかるべきとして、夫の月収の3割に相当する毎月3万円を最低3年間支払うべきだとして、108万円の財産分与を認めた判決もあります(東京高裁昭和47年11月30日判決)。

実際には、扶養的財産分与が認められる事例は多くありませんが、協議や調停においては、離婚後、それまで専業主婦やパート勤務であった妻(もしくは夫)が生活基盤を整え、自立した生活をスタートするための費用として、経済的に余裕のある夫(もしくは妻)が、一定の金員を支払う取り決めをすることはよくあります。この金員は、「解決金」等の名目にすることが多いと思います。