田中史子のつぶやきコラム

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2019.3.18

不貞行為の相手方に対する離婚慰謝料請求

妻の不貞行為の相手方に対し、離婚に伴う慰謝料請求をした事案につき、平成31年2月19日、最高裁第三小法廷の判決が出ました。この判決は、夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対して、特段の事由のない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと判断しました。

本件は以下のような事案です。
平成21年6月以降、甲の妻と、乙が不貞関係となり、甲は、平成22年5月頃、その不貞関係を知りました。甲の妻は、その頃、乙との不貞関係を解消し、甲との同居を続けました。
平成26年4月頃、甲の妻は、長女が大学に進学したのを機に、甲と別居し、平成27年2月、甲との離婚調停が成立しました。
甲は妻との離婚後、乙に対し、離婚に伴う慰謝料請求訴訟を提起しました。

上記裁判では、乙は、本件で甲が妻と乙の不貞関係を知ったのは平成22年5月であり、不貞行為による慰謝料請求権は3年の経過により時効であると主張しました。また、甲は、妻との離婚にあたって、妻に対しては慰謝料の請求をしていないことから、離婚に伴う慰謝料請求権も発生していないと主張しました。

しかし、この裁判の1審、控訴審では、乙の主張を認めず、不貞行為が原因で、甲と妻との婚姻関係が破壊され、離婚するに至ったとして、甲の乙に対する慰謝料請求を認めました。慰謝料請求権の時効については、離婚調停が成立した平成27年2月から進行するとしたのです。

これに対し、前記最高裁判決においては、控訴審判決を覆し、甲の乙に対する慰謝料請求を否定しました。最高裁は以下のように述べています。
「夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は、これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても、当該夫婦の他方に対し、不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして、直ちに、当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。」

私も、不貞行為から3年以上が経過した後の離婚について、上記のような特段の事情がないにもかかわらず、離婚慰謝料を、妻の過去の不貞行為の相手方に請求するというのは、行き過ぎだと思います。離婚については、当事者である夫婦自身が責任を持つべき問題であり、離婚慰謝料の第三者への請求を原則として認めなかった最高裁の判断に賛同します。