田中史子のつぶやきコラム

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2018.4.6

自社株と財産分与

夫(もしくは妻)が会社経営をしている場合、夫(もしくは妻)が保有している自社株は、財産分与の対象となるのでしょうか。

この点、会社が婚姻より前に設立されていた場合や、夫(もしくは妻)の特有財産をもとに設立した会社の場合には、原則としては、財産分与の対象にはならないと考えられます。

内縁の夫がA社とB社を経営し、両社の株式のほとんどを所有していたという事例において、A社は内縁関係がはじまる以前に設立されたものであること、B社については、税務対策のために設立されたもので、資産の総額は、借入金の総額よりも小さかったことから、A社、B社の株のいずれも財産分与の対象とされなかった事例があります(平成10年6月26日名古屋家庭裁判所審判)。

しかし、夫婦の一方が経営する会社であっても、婚姻期間中に、夫婦共有財産をもとに設立した場合には、自社株も財産分与の対象になります。

そして、自社株が財産分与の対象となる場合、離婚の際の相手方への分与割合は、原則として2分の1です。

ただ、夫が医師で医療法人を設立し、出資持ち分のほとんどを夫が保有している事例で、特殊な事情を考慮し、妻の寄与割合を4割としたものがあります(平成26年3月13日大阪高裁判決)。この判決では、出資持分全体を財産分与の対象となるとし、医療法人の特殊性等から、純資産評価額の7割相当額をもって出資持分の評価額としました。

そのうえで、さらに妻の寄与割合を4割としたものです。この判決で、夫の寄与割合を6、妻の寄与割合を4とした理由としては、高額な収入の基礎となる特殊な技能が、婚姻届出前の本人の個人的努力によっても形成されて、婚姻後もその才能や労力によって多額の財産が形成されたような場合等には、この事情も考慮しなければ財産分与の算定における個人の尊厳が確保されたことになるとはいえないいがたい、としています。すなわち、夫が医師の資格を獲得するまでの労力等を考慮して、夫の取得する割合を多くしたということになります。

ただ、原則は、自社株も、夫婦で協力して形成した財産として、2分の1の財産分与が認められることになりますので、会社経営者が離婚する場合、このことは十分に考慮しておく必要があります。