田中史子のつぶやきコラム

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2018.10.6

財産分与と特有財産

離婚の際、財産分与の対象となるのは、婚姻期間中(別居まで)に得られた収入により取得した財産であり、それが夫婦のいずれの名義になっているかは関係ありません。しかし、婚姻期間中に得た財産であっても、それが親族からの贈与や相続財産であったり、結婚前からの預金である場合には、夫もしくは妻の「特有財産」として、財産分与の対象からはずすことになります。

こうした「特有財産」が夫婦の共有財産とは明確に区別して管理してあり、特有財産であることが立証できれば、財産分与の対象からはずすことに問題ありません。例えば、結婚前からの預金の額が通帳の記載から明確にわかり、その預金がそのまま口座に残っているのであれば、特有財産の主張ができます。しかし、結婚前からもっている株を売却し、それに結婚後の収入を加えて資産を取得した、というような場合、どのように考えればよいのか、問題となります。

この点、東京高等裁判所平成7年4月27日判決においては、「特有財産の換価代金と婚姻中に蓄えられた預金等を併せて取得した財産も夫婦の共有財産に当たるもので、財産分与の対象となるものであり、ただ、財産分与の判断をするに当たって、その財産形成に特有財産が寄与したことを斟酌すれば足りるものと言うべきである。」としています。すなわち、この判決では、婚姻中に取得した財産については、その取得費用の一部に特有財産の部分が含まれていても、基本的には財産分与の対象となるとしています。

上記の事例においては、ゴルフ会員権等の購入に際し、その購入費用の大部分を妻が所持していた株式等の特有財産の売却によって用意したと推認できるとしながらも、購入資金に給与等による蓄えの部分が含まれていないと断定できない以上、夫婦の共有財産であるとしています。その上で、購入資金の大部分が妻の特有財産であること、夫がゴルフ等の遊興に多額の支出をしていることを考慮し、財産分与の割合を、夫36パーセント、妻64パーセントとしました。

本来は、特有財産は財産分与の対象からはずすべきところ、共有財産と混ざってしまうと特有財産の部分の金額を明確にすることができないことから、財産分与の割合を調整して公平を図ったものと考えられます。

結婚したときには、まさか離婚するとは考えず、自分の特有財産を夫婦の財産とは明確に分けて置いておこうとは思わないと思います。いざ離婚となった際には、これは自分の特有財産であると主張しても、その証明ができなければ、共有財産として2分の1となっていまいます。ただ、明確に特有財産の金額の証明までできなくとも、分与割合で調整する場合もあるということですね。