
田中史子の
つぶやきコラム
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2025.9.27
面会交流における「子の利益」
民法766条1項では、父母が、子との面会交流について定める際には、「子の利益」を最も優先して考慮しなければならないとされています。
ただ、子どもが面会交流についての希望を述べていても、その発言のみによって、面会交流の取り決めをするのが「子の利益」にはならない場合があるので、注意が必要です。
この点、家庭裁判所の調査官との面接において、面接当時8歳の子どもが、現在の面会交流の頻度や時間は現状で十分であると述べていても、「これをもって別居中の父子の交流の機会が十分に確保されていると直ちに評価することはできない」として、面会交流の1回あたりの実施時間を段階的に延ばしていくことを認めた決定があります(名古屋高等裁判所令和3年5月28日決定)。
具体的には、家庭裁判所の審判では、面会交流の頻度、時間が、月1回程度、1回あたり5時間とされていたのを、高等裁判所では、頻度は維持しながらも、1回あたりの時間を段階的に7時間まで延ばすことを認めました。
上記の決定は、当時8歳という子どもの年齢からすれば、面会交流の具体的な頻度や時間について、子どもの発言のみによって決することは相当ではない、とし、時間を若干延長しても具体的な弊害が生じるとは考えにくいこと、子どもが「(父と)もっと遊びたいと感じることもある」と述べていること等から、時間の延長を認めたものです。