田中史子のつぶやきコラム

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2024.2.15

離婚に必要な別居期間


夫婦の一方が離婚を拒んでいて、明確な離婚原因(暴力、不貞行為等)もない場合、裁判で離婚が認められるためには、ある程度の期間、別居することで、婚姻関係が破綻し、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められることが必要です。
では、何年程度別居すれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、離婚が認められるのでしょうか。

結婚の時期や、家族の状況、別居に至った経緯等によって、必要な別居期間は様々であり、一律の答えはできませんが、一般的には、おおむね別居期間が3年を超えれば、離婚が認められる可能性が高くなると考えられます。
ただ、別居期間が長くさえなれば、当然に「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、離婚が認められるということではないので、注意が必要です。

この点、別居期間が7年以上に及んでいても、離婚が認められなかった事例があります(東京高等裁判所平成30年12月5日判決)。
この事例は、夫が単身赴任中で、妻が二人の子どもと、夫の父親の世話をしていたところ、夫が突然電話で妻に離婚の話を切り出し、その後は妻との連絡・接触を極力避け、婚姻関係についてのまともな話し合いは一度もしていない、というものです。

高裁判決では、「離婚請求者側が婚姻関係の維持の努力や別居中の家事専業者側への配慮を怠るという本件のような場合においては、別居期間が長期化したとしても、ただちに婚姻を継続し難い重大な事由があると判断することは困難である。」としました。また、「(夫は)婚姻関係の危機を作出したという点において、有責配偶者に準ずるような立場にある点も考慮すべき」とし、「(夫の)離婚請求は信義誠実の原則に反するものとして許されない。」としました。

本件は、夫側が、「別居期間さえ長くなれば、当然に離婚は認められる」と考え、妻との話し合いを一切拒絶し続け、子ども2人や夫の父親の面倒を一人で見ている妻への配慮が全くなかったことから、裁判所は、これで離婚が認められるのはあまりにもひどい、と考えたのではないかと思われます。






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