田中史子のつぶやきコラム

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2019.1.5

相手方の特有財産の維持に協力した場合の財産分与

特有財産とは、婚姻前から夫(もしくは妻)が所有していた財産や、一方が相続、贈与等により取得した財産を言います。
財産分与(精算的財産分与)は、婚姻中に形成した財産を、離婚時に公平に分配するための制度です。したがって、精算の対象となる財産は、結婚してから形成した夫婦の実質的共有財産であり、各自の特有財産は財産分与の対象とはならないのが原則です。

では、夫(もしくは妻)の特有財産について、妻(もしくは夫)がその財産の維持のために協力してきた場合にも、特有財産は一切財産分与の対象にはならないのでしょうか。

この点、婚姻中、夫が夫の父から借地権の贈与を受けた事例において、夫の借地権の取得そのものに妻の寄与、貢献があったとは言えないが、その維持のために妻が寄与したことが明らかであるとして、妻の貢献の割合を借地権価格について1割と認めた判例があります(東京高裁昭和55年12月16日判決)。

この判例では、夫に上記借地権の他にも財産があり、妻の貢献の割合は、借地権については1割としましたが、その他の財産については夫と同等(5割)としました。夫が病気で入通院している間、妻が家業の経営に当たる等、別居までの婚姻生活期間中、真摯な努力を重ね、家計に多大な貢献をしたという事情が認定されています。

前述のとおり、特有財産は原則として財産分与の対象になるものではないので、例外的に離婚の際の精算の対象にするためには、その特有財産の維持管理について、他方がどのような内容の協力、貢献をしたのか、詳細かつ具体的に主張し、裁判所にそれを認めてもらう必要があると言えます。

また、夫(もしくは妻)の特有財産の維持管理について、妻(もしくは夫)の貢献が認められた場合、どのような割合で精算すべきについても問題となります。
この点、予め一定の基準を明示することは困難であり、個別の事案に応じて、裁判所が裁量によって認定することになります。