田中史子のつぶやきコラム

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つぶやきコラム

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2019.1.26

夫婦の同居義務

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないとされています(民法752条)。

夫(もしくは妻)が、正当な理由なく、妻(もしくは夫)との同居を拒否している場合には、妻(もしくは夫)は家庭裁判所に対し、同居を命ずる審判を求めることができます。
もっとも、審判で同居を命じられた場合であっても、どうしても同居したくないと言って拒んでいる妻(もしくは夫)に対し、同居することを強制する手段はありません。
それでも、同居を命じる審判をすることがあるのは、家庭裁判所からの命令により、たとえわずかであっても、妻(もしくは夫)の気持が変わって、同居に応じる可能性に期待したものと思われます。

福岡高等裁判所平成29年7月14日決定においては、「同居義務は、夫婦という共同生活を維持するためのものであることからすると、共同生活を営む夫婦間の愛情と信頼関係が失われる等した結果、仮に、同居の審判がされて、同居生活が再開されたとしても、夫婦が互いに人格を傷つけ、又は個人の尊厳を損なうような結果を招来する可能性が高いと認められる場合には、同居を命じるのは相当ではないといえる。そして、かかる観点を踏まえれば、夫婦関係の破綻の程度が、離婚原因の程度に至らなくても、同居義務の具体的形成をすることが不相当な場合はあり得ると解される。」としています。
その上で、同居を命じた原審判を取消しています。

上記の事例は、妻が、家庭裁判所の調査官らの立会の下で、夫との面会を試みようとしただけでも身体に不調を来たし、家庭裁判所技官によって、夫をストレッサ―とする適応障害と診断されていたというものです。このような状態で、裁判所の命令だからといって、無理に同居したとしても、上記高裁決定の述べているとおり、夫婦が互いに人格を傷つけ、個人の尊厳を損なう結果になる可能性は高く、お子さんにとっても、よい家庭環境とは言えません。
福岡高裁で、同居を命じた原審判を取り消したのは相当だと思いますし、原審で、どうして同居を命じる審判となったのか疑問に思います。