田中史子のつぶやきコラム

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つぶやきコラム

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2022.6.22

財産分与で預貯金が開示されない場合

離婚の財産分与においては、基準時(原則として別居時)に存在した夫婦の財産を明らかにすることが、まず必要です。
ところが、夫婦の一方が、預貯金等を隠し、明らかにしない場合があります。
そのような場合には、どうすればよいでしょうか。

財産分与の調停・審判や裁判の手続きにおいて、相手方に任意の開示を求めても開示しない場合には、裁判所に「調査嘱託」を申し立てる方法があります。
相手方の預貯金のある金融機関を具体的に特定して申立を行うことが必要ですが、裁判所が調査の必要性を認めた場合、裁判所が銀行に対し直接依頼をして、相手方の預貯金の履歴を裁判所に送付してもらうことができます。

ただ、金融機関によっては、裁判所からの要請であっても、相手方本人の同意がなければ調査に応じないという対応をとるところもあります。
この点、相手方の同意がないとして金融機関が調査嘱託に応じなかった事例において、裁判所が、申立人が主張している相手方の口座残高の推計額をそのまま認めて財産分与を行った審判があります(大阪家庭裁判所令和2年9月14日審判)。
上記審判の認定は、申立の主張している推計額に相応の合理性があること、相手方は、自分の口座の取引履歴を提出するだけのことで、申立人の推計の当否を容易に明らかにすることができるのに、これをしなかったことを理由とし、申立人の推計額の残高があったと推認しています。

なお、上記審判の抗告審(大阪高等裁判所令和3年1月13日決定)で、抗告人(一審相手方)は上記口座の1頁分の写しを提出しましたが、その基準時の残高は上記審判の推認額よりも相当低いものでした。
しかし、抗告審は、「家事事件の当事者は、信義に従い誠実に家事事件の手続きを追行すべき義務があるにもかかわらず(家事事件手続法2条)、一件記録によれば、抗告人による本件手続の追行は財産隠しと評されてもやむを得ないものであって、明らかに信義に反し不誠実なものというほかない。」としたうえで、抗告人(一審相手方)は、他にも判明していない口座を有していて、推認額との差額を他の口座に有しているものと認定し、抗告を棄却しています。











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