田中史子のつぶやきコラム

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2019.1.3

財産分与に借金は考慮されるか。

離婚にあたって財産分与する際、借金は考慮されるのでしょうか。

結婚してから、夫婦でマンションを購入するために住宅ローンを組んだ場合、財産分与の対象となる資産(マンション)のための借入金ですから、住宅ローンの残債務は財産分与の際に考慮されます。また、夫婦の生活費の不足分にあてるための借入金なども、財産分与の際に考慮されます。夫婦共同生活の中で生じた借金については、夫婦で形成した財産分与の際には、双方で負担するのが公平と考えられます。

では、借金は、どのような割合で考慮されるのでしょうか。
この点、東京地方裁判所平成11年9月3日判決は、「債務についても夫婦共同生活の中で生じたものについては、財産分与に当たりその債務発生に対する寄与の程度(受けた利益の程度)に応じてこれを負担させることができるというべきであり、その負担割合については、財産形成に対する寄与の程度と同様、特段の事情のない限り、平等と解すべきである」としています。要するに、原則として、財産も2分の1ずつにするし、借金も2分の1ずつにするということです。

上記の判決においては、マンションの購入代金の他、ホテルの部屋とゴルフ会員権購入のための借り入れも問題となりました。
ホテルの部屋とゴルフ会員権購入のための借金についても、夫婦共同生活における節税や利殖の目的によるものとし、原則どおり、2分の1ずつとしています。

もっとも、夫(もしくは妻)が、ギャンブルや浪費により借金をしている場合や、友人から頼まれてお金を用意するためにした借金等、個人的な事情に基づいてした借金については、財産分与の際には考慮されません。

この点、内縁の夫が経営する会社の債務について、夫が連帯保証している事例について、この債務は夫婦の実質的な共有財産を形成するに当たり生じたものではないとして、財産分与の対象から除いた審判例があります(名古屋家裁審判平成10年6月26日)。
この事例においては、夫の経営する会社の資産も、夫婦共有財産ではないとしています。仮に、会社の資産が実質的に夫婦の共有財産であるとみなされる場合であれば、会社に関して生じた債務についても夫婦で負担すべきとされるものと思われます。

結局、債務を財産分与の対象に含めるかどうか、を考えるにあたっては、夫婦の負担とすることが公平かどうか、という観点になってくるものと思います。